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パニック障害と幼少期・児童期の体験との関連

🍅ここでは、幼少期・児童期までに子どもが体験した出来事とパニック障害を含む精神疾患との関連を取り上げます。神経症圏の精神疾患の原因をめぐっては1800年代から幼児期・児童期の体験との関連が疑われていて、管理人、そして管理人の仲間の多くも子ども時代に何らかのネガティブ体験を持ってます。ただし、この点をあんまり強調し過ぎると、親をはじめとする保護者だけの責任とみなされやすいので研究の解釈には注意が必要かなと思います。
🍅神経症圏の精神疾患と幼児期・児童期の体験との関連を問う研究は、現代では出生後に外的な環境の影響によって遺伝子の表現型が変化することを研究するエピジェネティックスに役立っています。

  👀なお、エピジェネティックスについては以下のページで詳しく取り上げています。


1.乳幼児期から児童期にかけての体験と心の健康



🍅子どもが乳幼児期・児童期に体験した出来事が、その後の人生の精神的健康に強く影響するという研究は非常に多いです。特に、子どもの頃の負の体験が大人以後の精神疾患発症に何らかの影響を与えていることは間違いなさそうです
🍅以下、小川(1994)、上松ら(1995)、荘厳・沼田(2005)、井上ら(2019)による研究を整理します。

乳幼児期以降の両親との関係が子どもの心理的発達に大きく影響し、不安障害発症の基礎となる(小川:1994)
親の過干渉、過保護、共感に欠ける態度、無関心が不安障害患者の自我の確立に悪影響を及ぼす(小川:1994)
低養護や過干渉、虐待などの小児期の負の体験が神経症的傾向などのパーソナリティ特性の変化をうながす(井上ら:2019)
幼少期に形成される親子の心理的関係が、人の一生を通じて人間関係に大きく影響する(荘厳・沼田:2005)
・パニック障害患者では幼少期の著しい逆境とうつ病の既往が有意に多い(上松ら:1995)

🍅このように、乳幼児期・児童期に子どもが体験する出来事の主なものは「親」に関するものです。よって、親子関係、特に親の養育のあり方と精神的健康との関連を問う研究はいまも絶えることはありません。
🍅一方、出野(2007)は、子どもの不適応行動には親の個人的要因、親からの相互作用的要因、社会的要因、子ども自身の器質的要因、遺伝的要因など、複数要因が絡み合いながら影響を及ぼすと述べています。


2.子どもが経験するネガティブ・ライフイベンツと精神疾患との関連



🍅子どもの将来の精神疾患に影響を与えるであろう体験のほとんどはネガティブ・ライフイベンツ否定的な生活体験)です。ネガティブ・ライフイベンツにはさまざまなものがあって、また個別的な体験であることや個々の子どものストレス耐性の程度や人格特性にも左右されるため、一概に全員が将来精神疾患を発症するとは限りません。
🍅菅原(2004)は、子どもの問題行動や精神症状に影響しうる環境要因として以下の項目をあげています。

  ①養育者のパーソナリティ要因
  ②養育者の精神的安定の要因
  ③養育方法の要因
    ・スキンシップ、基本的生活習慣の獲得のさせ方、社会的ルールの獲得のさ
     せ方、子どもの感情表現に関するしつけ方、など
  ④養育者の養育態度や養育行動の要因
    ・子どもとのコミュニケーション時に親が示す態度や行動。支配的か放任的か、
     拒否的か受容的か、一貫性や矛盾の有無、虐待の有無、など
  ⑤養育者の教育的・文化的水準の要因
    ・教育や教養の程度、教育観、子ども観といった信念など
  ⑥家庭の社会経済的な地位または社会階層的要因
    ・養育者の就労の有無、職種、収入、居住環境、家庭にある物品など
  ⑦家族構成や家族関係の要因
    ・養育者の人数、きょうだいの人数、出生順位、夫婦関係、嫁姑関係、勢力関係など
  ⑧友人関係の要因
    ・友人集団内の地位や勢力関係、いじめ、異性関係など
  ⑨学校に関連する要因
    ・校則、教育方法や内容、教員の資質や子どもとの関係性、学級集団内の関係性、
     学校内の友人関係、など
  ⑩居住地域の要因
    ・都市部、郊外部、村落部、僻地、商工業地区、住宅地区、新興地域、伝統的地域など
  ⑪所属集団に共通するマクロな社会文化的要因
    ・言語、宗教、マスメディア、法律、社会制度、教育制度、固定観念など
  ⑫自然環境的要因
    ・地理的要因、気候的要因、環境汚染物質への曝露など

🍅以上をふまえ、ネガティブ・ライフイベンツとして以下の各内容を詳しく取り上げてみます。


(1)子どもの被虐待体験
🍅以下、出野(2007)、山口ら(2012)、大滝(2017)、土居・三宅(2019)による文献研究を整理します。

・被虐待体験は子どもにとって破滅的かつ被害が甚大で負の禍根を残す(土居・三宅:2019)
・被虐待体験は子どもの自己調節機能や親への愛着に影響を及ぼす(奥山:2005;渡辺:2003;森:2005)
・「キレやすい子ども」の増加の背景には被虐待体験が存在し、それが原因となって成長後に感情を制御できない行動異常や発達障害として表面化する可能性がある(山口ら:2012)
・被虐待体験を持つ人は攻撃性、抑うつ、不安、怒りのレベルが高い(Kagamimoriら:2004)
・被虐待体験を持つ人は孤独による不安やアルコール依存症、反社会的行動に至りやすい(Kagamimoriら:2004)

🍅次に、不安障害と被虐待体験との関連について、出野(2007)、山口ら(2012)、貝谷ら(2013)、井上ら(2019)による文献研究や自身らの調査結果を整理します。

・小児期の被虐待体験が神経症的傾向を高める(井上ら:2019)
・乳幼児期に過度の身体的虐待やネグレクトを受けると脳内神経系の発達に影響し、成長後に不安障害を発症しやすい(山口ら:2012)
・被虐待体験者の不安障害の有病率はそうでない人よりも有意に高い(Scottら:2012)
・不安障害発症は、男性では心理的虐待と性的虐待が有意に多い(Keyesら:2012)
・不安障害発症は、女性では身体的虐待、心理的虐待、性的虐待が有意に多い(Keyesら:2012)

🍅(2021/5/16)友田(2016)、藤澤ら(2020)は被虐待児の脳への影響に関する文献研究を行うとともに、被虐待児の脳の変化を観察しています。それは以下のようなものです。

・小児期に虐待を受けた人の後頭葉の視覚野の一部紡錘状回の容積が約18%減少していた(友田:2016)
・暴言による虐待を受けた人の側頭葉の聴覚野の一部上側頭回灰白質の容積が約14.1%増加していた(Tomodaら:2011)
・身体的な体罰やしつけを受けた人の右前頭前野内側部の容積が約19.1%減少していた(Tomodaら:2009)
・身体的な体罰やしつけを受けた人の右前帯状回の容積が約16.9%減少していた(Tomodaら:2009)
・身体的な体罰やしつけを受けた人の左前頭前野背外側部の容積が約14.5%減少していた(Tomodaら:2009)
・単独の種類の被虐待経験は視覚野や聴覚野などの感覚野の障害を引き起こすが、多くの種類の虐待を一度に受けると海馬や扁桃体などの大脳辺縁系に障害が生じる可能性がある(Tomodaら:2012)
・被虐待経験は子どもの海馬の容積を減少させる(Paquolaら:2016;Teicherら:2012;Whittleら:2013)
・被虐待経験は子どもの線条体を含む報酬系(ほめるなど)の感受性を低下させる(Dennisonら:2016;Takiguchiら:2015)

  👀なお、脳の基本的な機能については以下のページで詳しく取り上げています。


(2)親の別居・離婚によるひとり親状態の経験
🍅親の別居や離婚は子どもには喪失体験となり、子どもの心の健康に影響すると考えられています。
🍅以下、上松ら(1995)、野口(2006)、出野(2007)、貝谷ら(2013)による文献研究を整理します。

・親の離婚後に周囲の理解や援助が少ないと、子どもに深刻なダメージをもたらす可能性がある(野口:2006)
・親の離婚前後に子どもの複雑な気持ちを十分に表現できる機会がなければ、後に行動異常として現れる可能性がある(野口:2006)
・ひとり親に養育された人の不安障害の有病率は、両親に養育された人よりも有意に高い(Fergussonら:2007)。
・親の別居や離婚により、就学前の子どもには偏食や夜尿、夜驚などの退行現象が生じやすい(ただし、これはストレスに対する正常な反応である)(Kiatskin:1972)
・親の離婚は必ずしも子どもに不利益になるわけではなく、親、子どもの双方にとって希望が持てる新たな生活の始まりともなり得る(野口:2006)
・幼少期に母子分離を体験するとストレスに対する脆弱性が形成されるが、その後の環境が整っていれば海馬の機能が修復される(≒決して別離や離婚が子どもに不可逆的な(≒二度と元に戻らないという意味)障害をもたらすわけではない)(森信:2005;Kusakaら:2004)
・パニック障害患者は健康な人よりも15歳以前の離別体験が有意に多い(上松ら:1995)


(3)親との死別の体験
🍅親との死別もまた、子どもには喪失体験となって心の健康に影響すると考えられています。また、親との死別は(誰でもそうですが)残された人に悲嘆反応を生じさせます。北村(1984)、上松ら(1995)は調査から、以下の点を指摘しています。

・児童期に死別を体験した人は、そうでない人よりも抑うつ状態に陥る確率が有意に高い
・喪失体験が抑うつ状態の素因を作る臨界期は5~10歳であること(≒5~10歳の時期が最も悪影響をもたらし、それ前後の年齢ではそれほどの悪影響とはならない)。
・パニック障害患者は健康な人よりも死別体験が有意に多い


(4)親自身の要因
🍅親が何らかの行動異常や心の問題、精神疾患を抱えていると、子どもの心の健康が阻害されるといわれています。
🍅以下、出野(2007)、相澤(2014)による文献研究を整理します。

親や家族の適応力が低いほど、心的外傷体験を受けた子どもの抑うつが強く、問題行動も多い(Ajdukovic:1998;Bretonら:1993;Deblingerら:1999;Deblingerら:1999;Deblingerら:1999)
親の不安や抑うつの度合い、精神症状の多さ、子どもへの罪悪感の有無と子どもの心的外傷後の適応力は有意に関連している(Ajdukovic:1998;Deblingerら:1999;Bretonら:1993;Deblingerら;青木:2005)
親のPTSD症状が重いほど子どものPTSD症状や抑うつ、引きこもりなどの問題も増える(Rossmanら:1997)
親の不安感や恐怖感の強さが過保護的、過干渉的な養育態度として現れた結果、子どもの自主性や行動意欲を低下させ、社会不安障害を生じさせやすい(実際は一方的な因果関係ではなく、もともと不安が高く引っ込み思案な子どもが親の過干渉的な態度をその都度引き出してしまうという相互作用的なもの)(相澤:2014)
親が否定的な認知傾向にあると、子どもは同じ認知傾向を発達させる可能性が高い(相澤:2014)


(5)夫婦関係
🍅夫婦関係は「仲が良い・悪い」という評価基準の他にも、愛情関係の程度や絆の程度、問題解決機能など、さまざまな側面から評価することができます。
🍅以下、菅原ら(2002)、出野(2007)、下開(2009)による文献研究や自身らの調査結果を整理します。

母親が父親に寄せる愛情の低さと子どもの抑うつの程度が有意に関連していた(菅原ら:2002)
相思相愛の状態が子どもの抑うつの程度を有意に引き下げていた(菅原ら:2002)
母親から父親、もしくは父親から母親という片思い型の愛情関係では、父母のどちらかがやさしい親であれば子どもの抑うつの程度を有意に下げていた(菅原ら:2002)
夫婦関係の良好さが子どもに対する良好な養育態度と有意に関連していた(菅原ら:2002)
家族の凝集性(≒まとまり具合のこと)の高さが子どもの抑うつの程度を低下させている(菅原ら:2002)
夫婦の意見の不一致や葛藤など夫婦の否定的側面が子どもの攻撃性や反社会性、不安と関連していた(Emery & O'Leary:1982;Grynch & Fincham:1990)
・男子小学生の抑うつの高さと父親の時間的なゆとりのなさが有意に関連していた(下開:2009)

🍅(2021/5/16)友田(2016)は、両親間のDVを目撃した子どもの脳の変化を観察し、以下の結果を報告しています。

・親のDVを平均4.1年目撃した子どもの視覚野ブロードマン18野舌状回の容積が平均16%減少していた(Tomodaら:2012)
・親のDVについて、身体的なDVよりも言葉によるDVのほうが子どもの脳のダメージが大きかった(友田:2016)


(6)親の養育態度
🍅乳幼児期・児童期の子どもの体験と精神疾患の関連で、最も研究の数が多いのが「親の養育」に関するものです。
🍅親の養育が子どもの精神疾患に関係するという考え方の根拠は、ボウルビィJ.Bowlby)が提唱した愛着アタッチメント)理論です。これは、子どもは親から適度の愛情を受けることによって健全に成長し、親からの愛情の獲得に失敗すると子どもの発達に支障を来たして心の健康に関わるという理論です。愛着理論では特に「母性」が重視され、母親の役割が強調されます。この理論が今の男女同権思想の立場からどのように捉えられているのかは分かりません。ただし、傾向としては、子どもの養育に関して母親、父親という性別に重点を置いた研究は減りつつあるようです。
🍅また、大滝(2017)はボンディングBonding)という概念を紹介しています。これは、子どもに対する親の情動的(≒感情的)な関わりのことです。親からのボンディングに恵まれていると、子どもには安定的な感情が生じ、心の健康が良い方向に発達すると考えられています。一方、親が子どもに対してうまくボンディングしてやれないことをボンディング障害といい、これによって子どもの心の健康にも影響を及ぼすとされています。
🍅親の養育は乳幼児期・児童期にとどまるものではありません。緒方ら(2016)は、大学生の精神的自立に影響を与える要因として両親の養育態度をあげています。つまり、親の養育は青年期の子どもにまで影響を及ぼしうるもので、これはさきのページで触れた親離れ、子離れとも関連します。

  👀なお、親離れ、子離れについては以下のページで取り上げています。

🍅不安障害と親の養育態度との関連について、以下、小川(1994)による文献研究や自身の調査結果を整理します。

・幼児期の親子間の社会的、対人的関係の経験の有無が不安障害の発症に関与している(小川:1994)
・養護なき統制(低養護・高過保護)を体験した人はそうでない人よりも不安障害の点数が有意に高い(Parker:1981)
・養護なき統制という親の養育態度は、不安障害、抑うつ、社会不安障害、恐怖性障害、境界性人格障害の各患者には認められるが、統合失調症や双極性障害の患者にはあてはまらない(Parker:1981;Parker:1984)

🍅社会不安障害と親の養育態度との関連について、以下、菅原・伊藤(2006)、森下・阿部(2013)、相澤(2014)による文献研究や自身らの調査結果を整理します。
・社会不安障害の発症は親の過干渉、過保護的な養育態度と有意に関連している(Rubinら:2009)
父母からの否定的評価を恐れる子どもとその後の社会不安障害との間に有意な関連がある(Schreier & Heinrichs:2010)
・社会不安障害は家族外の社会関係に対する不安であり、家庭内でそのような社会関係に関する情報をもたらすのは父親である(相澤:2014)
「厳格―拒否」型の養育態度は子どもの自尊感情を下げるとともに対人不安を増大させる(菅原・伊藤:2006)
「過保護―期待」型の養育態度は子どもの自尊感情を上げるとともに対人不安を減少させる(菅原・伊藤:2006)

🍅(2021/5/16)友田(2016)は、親子間で愛着の形成に失敗した子どもの脳への影響について文献研究の結果、愛着形成障害の子どもの左半球の一次視覚野ブロードマン17野の容積が約20.6%減少していた(Shimadaら:2015)という研究を紹介しています。

  👀なお、脳機能については以下のページで詳しく取り上げています。


(7)子どものパーソナリティ
🍅このページでは主に乳幼児期・幼少期、児童期の子どもが体験するネガティブ・ライフイベンツの内容を取り上げていますが、だからといってネガティブ・ライフイベンツを体験した全ての子どもが精神疾患を発症するわけではありません。
🍅この違いの一つは子ども自身の性格であると考えられています。精神疾患との関連では「病前性格」とも呼ばれます。子どもの性格がネガティブ・ライフイベンツの強さを弱めたりして処理できることもあれば、逆に強くしてしまい、疾患発症に至る場合があると考えられます。

  👀なお、精神疾患とパーソナリティとの関連については以下のページで取り上げています。


(8)友人関係の不調等の体験
🍅乳幼児期はともかく、児童期になると子どもの社会関係は徐々に広がり、さまざまな人格を持つ友達集団に揉まれます。田中(2006)は、学年が上がるにつれて自分の趣味や価値観が形成されると、当初の簡単な動機による友達とは仲がうまくいかなくなる傾向にあると述べています。
🍅友人関係と精神疾患との関連について、以下、野沢(2010)、相澤(2014)による文献研究や自身の調査結果を整理します。

・高校生で親友と呼べる存在がいないことと子どもの問題行動との間に有意な関連がある(Garnefski & Diekstra:1996)
親友の存在が中学生の主観的健康観を高めている(中山ら:1997)
・社会不安障害の子どもは対人関係に関する自己評価が低く、かつ、仲間からも否定的評価を受けやすい(Hymelら:1993)
・社会不安障害の子どもは仲間外れに遭うなどして抑うつ感や孤立感を高めている(Boivinら:1995)
・社会不安障害の子どもは仲間関係の欠如によりソーシャルスキル対人関係のスキルが不足している(相澤:2014)


(9)災害・事故等の体験
🍅災害や事故等の体験は、子どもにとっては強力な心的外傷体験となります。この分野の研究は、災害別(たとえば阪神・淡路大震災、東北・東日本大震災、その他)に数多く行われており、ここでは割愛します。


(10)環境全体の要因
🍅出野(2007)は、子どもの不適応行動と親子間相互作用との関連を問う文献研究から、以下の各点を指摘しています。

・母親が子どもに対して否定的感情を持っているから子どもの不適応行動があらわれるのではなくて、子どもが乳幼児期に起こす問題行動を母親が見て子どもに対する否定的感情を強め、子どもが児童期になると子どもの問題行動とそれに対する母親の否定的感情の両方が否定的な促進要因として相乗的に作用し、子どもを不適応行動に至らしめる(菅原ら:2003)
・母親の否定的感情という要因は思春期の子どもの不適応行動には影響しておらず、友人関係や学校要因など、家庭以外の要因の影響が顕著である(菅原ら:2003)

🍅この出野の指摘は、単に幼少期や児童期の子どもの体験だけが子どもの精神疾患を惹起する要因ではないことを示唆しています。


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🍅以上、不安障害やパニック障害と乳幼児期・児童期の体験との関連を検討しましたが、やはり乳幼児期・児童期の体験だけがその人のパニック障害発症の原因であると考えることは安直で、遺伝、脳機能、神経系の機能、環境といった他の要因と複雑に関連し合いながら発症に至る、ないし発症しやすくなると考えたほうがよさそうですね。


文献

相澤直樹(2014)「子どもの社交不安に関する心理発達的研究について」『神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要』第7巻第2号、pp149-156.
土居正人・三宅俊治(2019)「自傷行為に及ぼす親子関係の歪みについて」『吉備国際大学研究紀要(人文・社会科学系)』第29号、pp1-9.
藤澤隆史・島田浩二・滝口慎一郎・友田明美(2020)「児童期逆境体験(ACE)が脳発達に及ぼす影響と養育者支援への展望」『精神神経学雑誌』第122巻第2号、pp135-143.
井上猛・館脩一郎・桝屋二郎(2019)「成⼈期抑うつ症状、うつ病発症に及ぼす虐め体験、神経症的傾向の多因⼦相互作⽤」『公益財団法人先進医薬研究振興財団平成30年度精神薬療分野一般研究助成研究成果報告書』pp6-7.
出野美那子(2007)「子どもの心理社会的不適応に関する文献的研究―2. 不適応の影響要因について―」『生老病死の行動科学』第12号、pp35-45.
貝谷久宣・土田英人・巣山晴菜・兼子唯(2013)「不安障害研究鳥瞰―最近の知見と展望―」『不安障害研究』第4巻第1号、pp20-36.
川上憲人ら(2003-2006)「こころの健康についての疫学調査に関する研究」『平成16~18年度厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業)こころの健康についての疫学調査に関する研究総合研究報告書』.
北村俊則(1984)「児童期の喪失体験と抑うつ状態―マッチド・ペアによる研究」『社会精神医学』第7巻第2号、pp114-118.
野口康彦(2006)「親の離婚が子どもの精神発達に及ぼす心理的影響の一考察―スクールカウンセラーの立場から―」『中央学術研究所紀要』第35号、pp80-89.
野沢慎司(2010)「子どもの精神的健康と家族関係・友人関係―思春期前後における世帯内外のネットワーク構造効果―」『季刊家計経済研究』第86号、pp53-63.
緒方南奈・徳田智代・原口雅浩(2016)「母親に対する甘えが大学生の精神的自立に及ぼす影響」『久留米大学心理学研究』第15号、pp9-16.
小川雅美(1994)「不安神経症患者と両親の養育態度の関連」『東京女子医科大学雑誌』第64巻第5号、pp418-423.
大滝優(2017)「子供時代の親子関係が成人期のストレス対処力に及ぼす影響に関する予防医学的研究」『筑波大学大学院人間総合科学研究科学位論文』pp1-65.
下開千春(2009)「小学生の抑うつ―親のゆとりや親子関係からみた要因―」『Life Design REPORT』2009年秋号、pp16-27.
荘厳舜・沼田宙(2005)「子ども期に形成された親のイメージと現代青年の感情制御行動」『発達研究(発達科学研究教育センター紀要)』第19号、pp125-138.
菅原正和・伊藤由衣(2006)「児童期の母子関係が青年期の自我形成に及ぼす影響―自尊感情(Self Esteem)と対人不安を中心として」『岩手大学教育学部研究年報』第65号、pp31-44.
菅原ますみ・八木下暁子・詫摩紀子・小泉智恵・瀬地山葉矢・菅原健介・北村俊則(2002)「夫婦関係と児童期の子どもの抑うつ傾向との関連―家族機能および両親の養育態度を媒介として―」『教育心理学研究』第50号、pp129-140.
田中麻未(2006)「パーソナリティ特性およびネガティブ・ライフイベンツが思春期の抑うつに及ぼす影響」『パーソナリティ研究』第14巻第2号、pp149-160.
友田明美(2016)「被虐待者の脳科学研究」『児童青年精神医学とその近接領域』第57巻第5号、pp719-729.
友田明美(2018)「アタッチメント(愛着)障害と脳科学」『児童青年精神医学とその近接領域』第59巻第3号、pp260-265.
上松正幸・貝谷久宣・高井昭裕(1995)「パニック障害の臨床研究―遺伝と環境」『心身医学』第35巻第4号、pp282-286.
山口拓・富樫廣子・松本眞知子・泉剛・吉岡充弘(2012)「幼若期ストレスによる成長後の情動行動障害」『日本薬理学雑誌』第139号、pp142-146.

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