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このブログの目的とサイトポリシー

(2021/9/13)文字数を減らし、より分かりやすく加筆修正しました。


1.このブログの目的



🍅管理人はパニック障害患者のひとりですが、かつて研究の世界にも片足突っ込んでました(注:パニック障害とはほとんど関係のない分野です)。一般に「研究」というものは敷居が高くて、研究者の多くも「自分たちが理解できればそれでいい」と考える傾向があります。なので、研究者が行う研究は患者や当事者にはなかなか届かないんです。パニック障害にまつわる研究は医学、看護学、薬学、心理学、社会学など、いろんな分野から行われてますが、パニック障害という研究テーマは応用、つまり役に立たなければなりませんし、研究の公益性という意味では、それが患者・当事者に届いてしかるべきと管理人は考えています。
🍅しかし、研究が患者・当事者に届くこと、これは一種の希望でして、実際にはなかなかうまくいきません。研究というのは、自分が主張したいことを言いたい放題言えばよいというものではなく、必ず「方法論」に基づいて行われなければなりません。また、研究はそれを行う研究者の感情や「想い」を極力排除します。管理人の研究テーマはパニック障害とはほとんど関係のない分野でしたが、指導教官からは「感情的になってはいけない」とよく注意されたものです。なので、研究と患者・当事者との距離はますます広がっていくわけです。
🍅さらに、研究と患者・当事者との関係だけでなく、研究者と臨床家との距離も残念ながら広いと言わざるを得ません。ここでいう臨床家とは、臨床医、看護師、臨床心理士、ソーシャルワーカーなどの対人援助専門職のことです。なぜ研究者と臨床家との距離が広がってしまうのか? それはだいたい、以下のようなものに集約されると思います。

①臨床家が研究者に対して感情的に抵抗する
・昔は威張り散らす研究者が多かった(医学分野以外はずいぶん変わりましたが…)。
・医学分野の研究者は今もなお、大学病院以外の病院勤務医や開業医を見下す傾向が強い。

②研究者は無責任である
・臨床家は病気や障害、人の生命に対して具体的に向き合って責任に直面しているのに、研究者にはそれがない。言いっ放しで具体的な責任を取らない。

③研究はすぐに役に立たない
・対人援助実践は個別性が高いので、客観性や一般性を重んじる研究は臨床場面ではすぐに役に立たない。

④研究には「あり方」論が多い
・研究者は「ああすべきだ」「こうすべきだ」とよく言うが、臨床家は「ああすべきだ」「こうすべきだ」は十分わかっていて、それでもうまくいかないから悩んでいる。

🍅ひるがえって、決して威張り散らすことなく、パニック障害の研究をわかりやすく噛み砕いて説明すること、それがこのブログの主な目的です。


2.精神疾患の原因解明の難しさ



🍅精神疾患全体として、その原因は長い間わからないまま放置されてきました。日本精神神経学会ら(2013)によると、その理由はいくつかあります。


(1)「精神」=「心」としてしまったこと
🍅一つ目は、「精神」=「心」としてしまったことです。これ自体は必ずしも誤りではないんですが、「心」を身体機能から切り離してしまったがゆえに、「心」のメカニズム解明に根拠のない解釈や分析を許す余地が生まれました。この傾向は特に不安障害の領域で顕著でして、この領域の精神医学が医学とはいえない状態が長期間続くことになってしまいました。


(2)脳機能の解明が遅れていたこと
🍅二つ目は、脳機能の解明が遅れたことです。多くの精神疾患の原因が「心」を動かす脳機能が原因であるらしいことは従来から言われてました。ところが、脳のどの部位がどのような役割を果たしているかという問題と、それを機能させる神経系がどうなっているかという問題の解明が遅れました。


(3)精神症状が主観的なものであること
🍅三つ目は、精神疾患が主観的な症状を中心とした病気であることです。つまり、症状が外から客観的に見えにくいんです。診断や治療は患者本人の「語り」に依存することになるので、本当のところはどうなんだ、客観的にどうなんだという評価が難しくなります。
🍅その意味では、逆に、患者本人の語りからはじまった現代の精神医学ってすごいと思いませんか? 管理人自身も自分の症状を主治医にうまく表現できないことがありますが、ときに「重症度評価」などのチェックリストを見ると「まさにこの症状じゃん」と膝をぽんと叩いて納得することがあります。


(4)精神疾患を実験動物で再現しづらいこと
🍅四つ目は、精神疾患を実験動物(ネズミが多い)で再現しづらいという問題があります。たとえば、パニック障害のように心拍亢進や血圧上昇、発汗などの身体症状が出ているならまだしも、「不安でなんとなくそわそわする」とか、対人関係面での質的な異常とか、さらに幻覚や妄想とか、そのような症状を実験動物で再現することは難しいです。


(5)環境的要因がどの程度影響しているかがわからない
🍅五つ目に、神経系、脳、遺伝子のほかに、精神疾患の原因を研究するときに最も難しいのが「環境」です。ストレス性の精神疾患やPTSDのように、環境が精神疾患発症の原因の一つであることは明らかです。
🍅ここでいう「環境」とは、自然環境のことではありません(ただし、自然環境も含む)。対人援助領域では、患者本人を取り囲む人的環境、騒音や大気汚染などの物理的環境、その他職業的環境、社会環境、自然環境など、要するに患者本人に刺激を与えるであろう外的な環境すべてを「環境」といいます。
🍅しかし、たとえば、患者が抗うつ薬を服用して「効いた」と言ったとしても、たまたま対人関係でいいことがあって気分が良かったとか、天気が良かったとか、仕事がうまくいったとか、薬以外の「環境」のせいで「効いた」のかも知れないんです。研究はこの点をはっきりさせることができません。
🍅また、環境的要因は患者個人によって異なります。個々の患者がどのような環境で生きてきたのかという生活史の部分はかなり個別性が高いです。個別性は研究が最も苦手とするところなんです。

  👀なお、パニック障害の原因をめぐっては以下のページで詳しく取り上げています。


3.患者・当事者の方へのお願い



🍅このブログをご覧頂くにあたって、患者・当事者の方々にご理解頂きたいことが4つあります。


(1)研究は一日にして成らず
🍅頭の中に何もない「無」の状態で何らかのひらめきがあって、それが患者・当事者の役に立つ研究になることはまずないです。研究は必ず、他の研究者が先に行った研究(先行研究といいます)を参考にして、じわりじわりと、徐々に積み上げられていくものです。稀に、一部の精神科薬のように、たまたまその薬が精神症状に効いたという発見もありますが、それとて生化学の知識がなければ創薬には繋がらないわけで、研究はじつに地道な作業なんです。

  👀なお、精神科薬の概要については以下のページで詳しく取り上げています。

🍅たとえば、現在のパニック障害の完全治癒率が40%とすると、1年後にそれが90%になることはありえません。特に医学や薬学の研究は、下手をすると患者の生命に関わるので十分な保証や安全のための手続きが必要となり、しかも研究者や臨床家全体でそれが正しいという合意を得なければならないので、薬ひとつをとっても研究に長~い時間がかかるんです。
🍅したがって、一つひとつの研究は非常に地味です。まずはこの点、研究なるものに対して過剰に期待しないようにして頂ければと思います。


(2)研究は「暫定的結論」を導くことしかできない
🍅ある研究を行い、かくかくしかじかという結果が出たとします。しかし、その結論はあくまで「暫定的な結論」であって真理ではありません。つまり、現時点で正しいだけで、将来は異なる結論が出る可能性があるということです。そのため、ある時点までは正しいと信じられていたことが、時間をかけて気が付いたら天地ひっくり返っていたということがよくあります。パニック障害がなぜ生じるかという仮説が良い例で、少し前までは幼児期の葛藤が要因とされていたものが、今では脳機能が主な要因とされています。

  👀なお、脳機能については以下のページで取り上げています。

🍅さらに言えば、完璧な研究など絶対に存在しません。どこかに研究上の不備や限界があり、だからこそ小さな小さな研究がいま現在も、そして将来も積み重ねられていくことになります。
🍅ですので、たとえ「いまわかっていること」であっても、それは将来変わり得るという点をご理解ください。

研究のサイクル


(3)専門家の領域に深く立ち入り過ぎない
🍅パニック障害を持つ患者・当事者の方々の多くは、ときに専門家以上に知識を調べておられるのではないでしょうか。管理人は若い頃(インターネットがなかった頃)、自分の症状を図書館に行って調べ倒したものです。
🍅調べることや知ること自体は別段なんの問題もないのですが、得た知識をもって診察してくれる主治医を蔑視したり、「そんなことも知らないのか」という態度を取るのは控えて頂きたいと思います。臨床現場の専門職は、専門的知識を持っているだけでなく、専門的実践経験を積んでいます。言葉は悪いですが、「素人」(もちろん管理人も含みます)が経験豊かな専門職の助言や指導に対して、知識だけで蔑視することは医師―患者、専門職―当事者という大切な援助関係をぶち壊しかねません。
🍅昨今、テレビで新型コロナウィルスについて芸能人や弁護士や司会者、つまり「素人」が専門家が目の前にいるというのにPCR検査に関して自説を披歴しているのを観ておかしいと思ったことはないでしょうか? かように、知識だけで頭でっかちになってもろくなことにはならないと考えますし、管理人も自分の病気に関しては一定の知識を持ちながらも主治医を全面的に信頼するように心掛けています。この点、十分注意して頂ければと思います。


(4)しんどいときは読まないで!
🍅このブログをご覧の、パニック障害を持っておられる患者・当事者の方にお願いです。ご自身が精神的にしんどいときには、このブログの記事を読まないほうがよいと考えます。管理人もこのブログの記事を書くためにいろんな論文を読みまくってますが、しんどいと思うときがあり、暗澹とした気分になって記事を書くのを中断することが結構あります。
🍅ですので、特に患者・当事者の方はご自身の責任においてお読み下さい。この記事による読み手の体調変化等に関しては一切の責任を負いかねます。この点、何卒ご理解下さい。


4.お問い合わせ・コメントについて



🍅このブログでは、特に患者・当事者の方々からのご意見、ご感想、リクエストなどをお待ちしております。管理人自身のリハビリテーションの参考になるばかりか、ブログ内容の洗練にもつながります。
🍅このとき、コメントを頂ける方に対して管理人から氏名等の個人情報を求めることは一切ありません。また、頂いたコメントはこのブログ内容の参考にするだけであって、管理人がそれ以外の目的で使用することは絶対にありません。
🍅ただし、コメント投稿にあたっては、不特定多数の方が閲覧する可能性をふまえ、以下の各点について十分ご注意下さい。下記の各点ないしこれに準ずるコメントは躊躇なく削除させて頂きます。

  ❌ 特定の商品の宣伝と関係のあるコメント
  ❌ 政治的な左右に関係のあるコメント
  ❌ 特定個人を誹謗・中傷するコメント
  ❌ 公序良俗にふさわしくないコメント
  ❌ その他、社会人として不適切と思われるコメント

🍅また、症状に関する問い合わせ(≒診断行為。素人が診断することは医業に該当し、医師法第17条で禁じられています)、投薬の内容に関するご質問には一切お答えすることができません(ご自身の主治医にご相談下さい)。


5.その他



🍅このブログでは、とりあえず日本語論文のみを取り扱います。医学、薬学系の研究論文は通常、欧米の研究論文を読んだ上でそれが正しいかどうかを検証するというパターンが多いんですが、ここでは患者・当事者にわかりやすく伝えるという目的ですので、日本国内の文献をわかりやすく噛み砕くことに特化したいと考えています。ことに海外研究は孫引きにとどまっているため、研究者がこのブログを読んでも使いようがありません。あくまで患者・当事者向けです。
🍅あまたの研究論文には、それぞれ著作権があります。したがって、このブログで取り上げる研究論文に関しては数値以外の文章の直接引用は一切せず、各ページに「文献」として記載することとします(直接引用していなくとも「引用文献」とみなす学会も存在しますが、ここでは「文献」ということでお許し下さい)。
🍅なお、最近パニック障害は学問上は「パニック症」と呼ぶようになりましたが、パニック障害のほうが馴染みがあるため、特に表記のない限り「パニック障害」で統一することにします。また、障害という用語については、障害、障碍、障がいなどの表記が定まっていないため「障害」で統一しています。何卒ご理解下さい。


6.個人情報保護ポリシー



🍅このブログは、個人情報の保護に関する法律の主旨にしたがって、個人情報の適切な保護に努めます。
🍅個人情報は、基本的にこれを収集しません。また、何らかの理由によって例外的に管理人が他者の個人情報を取得した場合、その利用目的はもっぱらこのブログの記事内容の変更・修正、新たな記事作成にのみ使用することとし、当然ながらその個人情報は秘匿します。
🍅例外的に取得した個人情報は、目的外利用、漏洩等を防止するため、適切な管理を実施します。
🍅仮に個人情報を得たときは、これを第三者に提供することは一切ありません。

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