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パニック障害の薬物療法(抗うつ薬)

🍅抗うつ薬は、一部はパニック障害の治療に用いられることがあるので取り上げておきます。
🍅以下、小口ら(1984)、河北(1994)、小曽根・伊藤(1996)、樋口(2001)、井上・小山(2001)、白川(2002)、井上(2005)、神庭ら(2005)、中村(2005)、山田ら(2006)、上島(2007)、酒井(2008)、松枝(2009)、福田(2013)、貝谷(2013)、坂本(2017)、井上(2018)による知見を整理します。
🍅抗うつ薬を含め、精神疾患の薬物療法が本格化したのは1950年代以降です。前のページで軽く触れたように、精神科薬にはその作用が偶然発見されたという奇妙な歴史を持つものが多いです。そして、この偶然をきっかけとして、精神疾患発症におけるモノアミン仮説が確立されます。今日、モノアミン仮説を全肯定する学者は一人もいませんが、その一方でモノアミン仮説にしたがって作られた抗うつ薬が現在も用いられています。

  👀なお、モノアミン仮説については以下のページで詳しく取り上げています。

🍅以下、歴史順に、主な抗うつ薬をあげてみます。なお、別ページで掲げた神経細胞の図を再び貼っておきます。参考になさって下さい。

神経細胞


1.第1世代抗うつ薬



🍅1950年代に開発、販売された抗うつ薬は「第1世代」抗うつ薬と呼ばれています。主な第1世代抗うつ薬としては、モノアミンオキシターゼ阻害薬(MAO阻害薬)と三環系抗うつ薬(TCA)があげられます。


(1)モノアミンオキシターゼ阻害薬(MAO阻害薬またはMAOI)
🍅モノアミンオキシターゼモノアミン酸化酵素MAOmonoamine oxidase))とは、モノアミン神経伝達物質を分解して、その働きを抑える機能を果たす酵素の一つです。そこで、MAOがモノアミン神経伝達物質を分解できないようにしてやれば、モノアミン神経伝達物質の量が増えるだろうというのがMAO阻害薬の作用のしくみです。
🍅1950年代前半に、イプロニアジドiproniazid)という結核治療薬を患者に処方したところ、副作用の一つとして患者の気分が爽快になったり、興奮したりすることが観察され、その後イプロニアジドの作用を検証した結果、MAO阻害機能が確認されました。
🍅しかし、この原始的なMAO阻害薬は副作用が重篤で、精神科臨床で使いづらいことなどから次第に敬遠されるようになり、欧米では1970年代、日本では1997(平成9)年に姿を消したといわれています。
🍅MAO阻害薬の意義としては、抗うつ薬としての道すじをつけたこと、のちに副作用が少ないMAO阻害薬の開発に繋がったことなどがあげられます。

MAO阻害薬


(2)レセルピン
🍅レセルピンreserpine)はもともと高血圧治療薬(降圧剤)で、ノルアドレナリンの量を下げることで血圧を下げてやろうという作用のしくみを持っていました。これも、1950年代中盤頃に患者に処方される中でうつ症状やパーキンソン症状などの副作用が観察され、それらの作用をよく調べてみると、脳内のノルアドレナリンだけでなくセロトニンやドーパミンといった他のモノアミン神経伝達物質も減っていることがわかったという代物です。

  👀なお、ノルアドレナリンの機能については以下のページで別途取り上げています。

🍅レセルピンも、重篤な副作用があったので抗うつ薬としてはあまり使われることはなかったようです。レセルピンの意義としては、うつ病の原因としてモノアミンの減少が考えられるというモノアミン仮説が確固たるものとされたことや、パーキンソン病とドーパミンとの関連がより疑われるようになったことなどがあげられます。

レセルピン


(3)三環系抗うつ薬(TCA)
🍅三環系抗うつ薬TCA;tricyclic antidepressants)の最初は、イミプラミンimipramine)という化合物から作られました。1950年代後半のことです。化学構造の環(炭素環)が3つ連結しているので三環系と呼ばれています。この三環系抗うつ薬は、1960年代から1970年代にかけて抗うつ薬の大ヒット商品となりました。
🍅イミプラミンがうつ病に効果があるとする発見も、これまた偶然です。イミプラミンはもともと抗ヒスタミン薬で、発売前に副作用の確認をしたところ鎮静作用があることがわかり、うつ病患者に投与したところ効果が確認されたというわけです(当初は統合失調症患者への処方を図ったが効果が弱すぎた)。
🍅三環系抗うつ薬は、ノルアドレナリンとセロトニンの2つの神経伝達物質の働きに介入します。すなわち、シナプスから放出された神経伝達物質を回収して(=再取り込み)余分な神経伝達物質が受容体に届かないようにする役割を担うトランスポーター(ノルアドレナリントランスポーターセロトニントランスポーター)に作用し、再取り込み機能を妨害することによってシナプス間隙の神経伝達物質の量を増やすことを狙っています。

  👀なお、トランスポーターについては以下のページで取り上げています。 

🍅ところが、三環系抗うつ薬はノルアドレナリンとセロトニンだけでなく、他の神経伝達物質にも影響を与えてしまいました。特にアセチルコリン、アドレナリン、ヒスタミンの各受容体の機能まで遮断した結果、副作用が多くなってしまったのです。
🍅なお、三環系抗うつ薬は、1960年代に恐怖・不安反応(現在のパニック発作)に有効であるとする報告が発表されていたようです。

三環系抗うつ薬(TCA)


2.第2世代抗うつ薬



🍅1960年代後半から1980年代前半にかけて開発、販売された抗うつ薬は「第2世代」抗うつ薬と呼ばれています。主要な第2世代抗うつ薬としては、第2世代三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、第2世代MAO阻害薬(MAO-A・MAO-B阻害薬)、トリアゾロピリジン系抗うつ薬、スルピリドなどがあげられます。
🍅第2世代抗うつ薬の主な性質、というか狙いは、第1世代で大きな問題とされた副作用への対処でした。いかに副作用の少ない抗うつ薬を作るか。ここに主眼を置いたのが第2世代抗うつ薬といえるでしょう。なので、抗うつ効果は第1世代に比べてあまり改善されることはなかったようです。また、あくまで「のちに位置付けられたこと」としては、第3世代抗うつ薬すなわちSSRIまでのつなぎ役としての役割を担ったのが第2世代抗うつ薬でした。


(1)第2世代三環系抗うつ薬
🍅第2世代三環系抗うつ薬は、1960年代前半以降に開発された三環系抗うつ薬で、代表格としてはアモキサピンamoxapine)などがあげられます。
🍅作用のしくみは第1世代三環系抗うつ薬と同じですが、従来のお薬よりもノルアドレナリン再取り込み阻害作用、セロトニン受容体阻害作用が強く、逆にドーパミン受容体阻害作用が少し弱いとされています。副作用が大幅に減少したといわれています。


(2)四環系抗うつ薬
🍅四環系抗うつ薬は、化学構造の環(炭素環)が4つ連結しているので四環系と呼ばれています。主な四環系抗うつ薬としては、ミアンセリンmianserin)、セチプチリンsetiptiline)、マプロチリンmaprotiline)などがあげられます。
🍅作用のしくみとしては、三環系抗うつ薬のように神経伝達物質トランスポーターの再取り込み機能を阻害するのではなくて、シナプスのアドレナリン受容体を強く遮断することによってシナプス間隙のノルアドレナリン濃度を上げ、ノルアドレナリンの活動や代謝を活発にしようとします。
🍅四環系抗うつ薬は、三環系抗うつ薬に比べて効果の発現が速いことや安全性が高い(≒副作用が少ない)ことを特徴としていますが、目的を安全性優先の方向に振ったことから、三環系抗うつ薬よりも効果がやや低いといわれています。

四環系抗うつ薬


(3)MAO-A/MAO-B阻害薬
🍅第1世代のMAO阻害薬の大きな欠点の一つは副作用の重篤さでした。そこで、第2世代のMAO阻害薬ではMAO阻害のメカニズムがさらに洗練されたものになっています。
🍅すなわち、MAO阻害には、感受性が異なるMAO-AMAO-Bの2種類があることが突き止められました。MAO-Aは、セロトニン、ノルアドレナリン、アドレナリンなどを分解してそれらの機能を阻害する酵素です。また、MAO-Bは、フェニルエチラミン(phenethylamine;モノアミン神経伝達物質の一つ。高揚作用と関連している)などを分解してそれらの機能を阻害する酵素です。
🍅第1世代のMAO阻害薬は、MAO-AとMAO-Bの両方を阻害していて、作用も広ければ副作用も広いものとなっていたので、これらのモノアミン神経伝達物質のいずれかに標的を絞り込む(これを特異性選択性という)ことを狙ったのがMAO-A/MAO-B阻害薬です。これが開発されたのは1960年代後半のことです。
🍅ところが、これらMAO-A/MAO-B阻害薬もやっぱり副作用の重篤さに問題を抱えてしまい、さらなる改善を求められることになりました。

MAO A B阻害薬


(4)トリアゾロピリジン系抗うつ薬
🍅これは、トラゾドンtrazodone)という化合物から作られた抗うつ薬で、三環系/四環系抗うつ薬とは構造が異なり、かつ、その機能は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に近いとされています(近いだけでSSRIではない)。
🍅作用のしくみとしては、セロトニントランスポーターによるセロトニンの再取り込み機能を阻害してシナプス間隙のセロトニン濃度を高めるもので、この点はSSRIと似ていますが、この阻害機能が案外弱く、一方でシナプス後部のセロトニン受容体の遮断作用が強いことを特徴としています。そのため、セロトニン遮断再取り込み阻害薬SARISerotonin 2 Antagonist and Reuptake Inhibitor)と呼ばれています。
🍅欧米では1970年代に開発され、日本では1991年に発売されていますが、すぐ後に有名なSSRIが発売、普及したことによってあまり目立たなかった抗うつ薬といえます。また、副作用として眠気が強くなることが知られており、睡眠薬として使用されることも多いとされています。

トリアゾロピリジン系抗うつ薬


(5)スルピリド
🍅スルピリドsulpiride)は1960年代後半に胃薬として開発されたもので、やはり開発後に抗うつ作用が発見され、以後抗うつ薬としても用いられるようになったものです。
🍅作用のしくみとしては、ドーパミン自己受容体に作用します。すなわち、神経細胞からドーパミンが分泌され、シナプス間隙のドーパミンが一定以上の濃度になると、送り側の神経細胞の樹状突起にあるドーパミン自己受容体が「これ以上分泌するな」という命令を自分の神経細胞に送り、シナプス間隙のドーパミン濃度を一定に保っています。スルピリドは、この自己受容体の命令を妨害し、シナプス間隙のドーパミン濃度を一定以上に増やします。
🍅スルピリドも副作用が比較的強く、古いこともあって現在はあまり用いられていないようです。

スルピリド


3.第3世代抗うつ薬



🍅第3世代の抗うつ薬としては、やはり選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)があげられます。第1世代、第2世代の抗うつ薬で副作用がさんざん問題であり続けたことから、副作用を最小限に抑えつつ、効果的な抗うつ薬の開発が試みられました。ただし、依然としてモノアミン仮説の呪縛から解き放たれることはないまま現在に至っています。


(1)選択性セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
🍅SSRIselective serotonin reuptake inhibitor)は1980年代に開発された抗うつ薬で、代表的なものとしてはフルボキサミンfluvoxamine)やパロキセチンparoxetine)などがあげられます。なお、日本では第3世代に位置づけられますが、欧米では第2世代に属するようです。日本では1999年から導入されています。
🍅作用のしくみとしては、セロトニントランスポーターに作用します。すなわち、セロトニントランスポーターは、神経細胞から分泌されたセロトニンのうち、余分なセロトニンを回収すること(=再取り込み)によって、シナプス間隙のセロトニン濃度が上昇し過ぎないようにする役割を果たしています。SSRIは、セロトニントランスポーターの再取り込み機能を阻害し、シナプス間隙のセロトニン濃度を上昇させることを狙っています(三環系抗うつ薬に比べ、再取り込み阻害機能が桁違いに強力とされる)。セロトニントランスポーターにだけ作用するという意味で「選択性」となります。

  👀なお、トランスポーターについては以下のページで取り上げています。

🍅SSRIには即効性がなく、効果を示すまでに数週間かかることがわかっています。つまり、シナプス間隙のセロトニン濃度が上がることはうつ病の改善にはあまり関係がなくて、その後の何らかの変化がうつ病の改善と関係しているとみられています。この数週間のうちに、脳内のモノアミン神経伝達物質にどのような変化が生じているのかが現在でも重要な研究課題となっています。
🍅モノアミン神経伝達物質のトランスポーター受容体に対する選択性が高くなったことから、副作用としての抗コリン作用(便秘、排尿障害、起立性低血圧など)が生じにくくなったとされています。一方、新たな副作用として吐き気や嘔吐、離脱症候群(≒減薬、中止が難しい)やセロトニン症候群(血圧上昇や頭痛など)が報告されています。いくら選択性とはいっても、セロトニンは気分やうつ状態だけに関係しているわけではなく、他のさまざまな脳機能にも関連しています。したがって、セロトニンが関係していると考えられる部分全ての状態が変わってしまうということです。
🍅治療効果については、当初喧伝されたほどの効果を示すことができず、先行研究による寛解率は多く見積もっても60%台で、近年はSSRIの効果は限定的であるとする研究が増えています。
🍅なお、SSRIには不安障害にも効果があるとされており、パニック障害でも処方されることがあります。ただし、なぜSSRIが不安障害に効くのかはよくわかっていません。パニック障害の原因はモノアミンの過剰作用だとされているのに、SSRIはセロトニンの量を増やそうとするものであり、矛盾しています。
💥(2021/7/7)シナプス間隙のセロトニン量を増やす抗うつ薬が、セロトニン神経系の暴走であるパニック障害(≒シナプス間隙のセロトニン量を減らさなければならない)になぜ効くのかについては、1990年代の段階では「どうやら」パニック障害とうつ病とでは作動するセロトニン受容体が異なるからではないかとする説が出されていますが(中嶋:1992)、管理人の知る限りこれを合理的に説明した論文を見たことがありません。
💥(2021/7/19)蜂須・貝谷(2010)によると、セロトニンの再取り込みが阻害されるとシナプス間隙のセロトニン濃度が増加します。増加したセロトニンが送り側神経細胞の5-HT1A自己受容体に作用してセロトニンの活動を抑制します。その後SSRIの服薬を繰り返すことによって5-HT1A自己受容体が持続的に刺激されてこの受容体の感受性が低下し、セロトニン神経系が活性化されることになります。そしてセロトニン神経系が活性化された後にセロトニンが神経細胞の受け側の5-HT1A受容体を刺激したり、5-HT2A受容体の感受性が低下するなどして抗不安作用が現れる、とのことです。
🍅SSRIの意義としては、副作用が比較的少なく、扱いやすくなったというポジティブな意義と、扱いやすくなったがゆえに機械的な処方が目立つようになるといった専門家の臨床スキル低下の問題や、商業上の宣伝の問題、製薬業界と研究業界との癒着など、現代の精神科薬のあり方という意味でさまざまな問題を投げかけたというネガティブな意義の両方があげられます。

選択性セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)


4.第4世代抗うつ薬



🍅第4世代抗うつ薬は、1990年代以降現在に至るまでの世代で「ポストSSRI」という位置づけです。主な第4世代抗うつ薬としては、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、可逆的A型モノアミン酸化酵素阻害薬(RIMA)、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(NARI)、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)などがあげられます。

  👀なお、ノルアドレナリンについては以下のページで取り上げています。


(1)セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
🍅SNRIserotonin noradrenaline reuptake inhibitor)は、SSRIに続く新世代の抗うつ薬として開発されました。SSRIがセロトニンに標的を絞っていたのに対して、SNRIはセロトニンとノルアドレナリンに選択性を示します。代表的なSNRIとしては、ヴェンラファキシンvenlafaxine)やデュロキセチンduloxetine)などがあげられます。日本では、2000年から導入されています。
🍅作用のしくみは、基本的にはセロトニンとノルアドレナリンの両トランスポーターの再取り込み機能の阻害ですが、SNRIは三環系抗うつ薬で生じた副作用と関係する神経伝達物質受容体には作用しないことから、三環系抗うつ薬ほどの副作用は生じないと考えられています。ただし、ノルアドレナリンの機能亢進にともなって腎臓への負担が懸念され、尿閉や排尿困難などの副作用が報告されています。

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)


(2)可逆的A型MAO阻害薬(RIMA)
🍅第1世代のMAO阻害薬、第2世代のMAO-A/MAO-B阻害薬で得られた経験から、副作用を減らすべくMAO-Aの選択的阻害作用に着目したのがRIMAreversible inhibitors of MAO-A)で、主に1990年代に開発が行われました。
🍅「可逆的」とは元に戻ることができるという意味で、薬の効果が消えると元の状態に戻るということです。
🍅作用のしくみとしては、MAO-Aは、先に述べた通りセロトニンとノルアドレナリンの分解酵素です。RIMAは、MAO-Aに選択的に作用し、阻害することで、シナプス間隙におけるセロトニンとノルアドレナリンの濃度を上昇させます。

可逆性モノアミン酸化酵素A阻害薬(RIMA)


(3)選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(NARI)
🍅NARI(selective noradrenaline reuptake inhibitors)は、SSRI、SNRIとは異なり、ノルアドレナリントランスポーターに選択的に作用し、その再取り込み機能を阻害させようとする抗うつ薬で、1990年代に開発されましたが日本では使用されていません。

選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(NARI)


(4)ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)
🍅NaSSAnoradrenergic and specific serotonergic antidepressant)は1990年代に開発された抗うつ薬で、日本では2009年から導入されています。
🍅作用のしくみとしては、アドレナリン自己受容体に作用します。すなわち、神経細胞からノルアドレナリンが放出され、シナプス間隙のノルアドレナリン濃度が一定以上に上昇すると、送り側の神経細胞のアドレナリン自己受容体(ここではアドレナリンとしていますが、ノルアドレナリンだと理解すればよいです)がノルアドレナリンの放出をストップさせます。NaSSAは、このアドレナリン自己受容体の命令を阻害し、シナプス間隙のノルアドレナリン濃度を上昇させます。一方、セロトニンには自己受容体ではなく一部の受容体(5-HT2と5-HT3)に作用し、その機能を遮断することで残った受容体(5-HT1)にセロトニンが集中するよう仕向けることで、セロトニンの活動を促進させます。
🍅NaSSAは、四環系抗うつ薬に似ているとされていますが、四環系抗うつ薬に比べて強力な抗うつ効果を示すといわれています。

ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)


文献

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樋口輝彦(2001)「抗うつ薬開発の歴史と未来」『IRYO』第55巻第1号、pp13-18.
井上猛・小山司(2001)「うつ病と選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)」『臨床薬理』第32巻第3号、pp491S-492S.
井上猛(2005)「不安障害の薬物治療の最前線」『日本薬理学雑誌』第125号、pp297-300.
井上猛(2018)「不安症治療におけるSSRIの作用機序の神経科学的理解」『不安症研究』第10巻第1号、pp20-28.
貝谷久宣(2013)「不安障害研究鳥瞰―最近の知見と展望―」『不安障害研究』第4巻第1号、pp20-36.
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中嶋照夫(1992)「不安と抑うつの神経化学的基礎と臨床」『生理心理学と精神生理学』第10巻第2号、pp91-102.
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